今回は, 個人的に面白いと思った数学のパラドックスを紹介します!
1.全能のパラドックス
全能とは何でもできるという意味である. さて、例えば私が全能であるとしよう.
すると私は何でもできるので誰も持ち上げられない岩を作ることもできる.
しかし, 誰も持ち上げられないので全能である私も持ち上げることはできない.
このことは、私が全能であることに反する(全能であれば持ち上げられるはず).
そして, もし誰も持ち上げられない岩を作ることができなければ私は全能ではないことになり(何でもできるのが全能である)どちらにせよ矛盾する.
ということは全能などありえないということだ.
2.バナッハタルスキーのパラドックス
これは, 常識で考えればありえないことがおきることの例である.
球体等を適当に分割して組み替えると元と同じ球体等が2つできるというもの.
例えば, ここにおいしそうなケーキがあるとしよう.このケーキを4分の1ずつ8人で食べたい.
しかしケーキは1個しかないので足りない(ケーキは2個必要).
このパラドックスを知っているある人が, よし適当に分割して組み替えるぞ!
ほら同じ”ケーキ”が2個できた!
周りからは拍手.しかしこのケーキ, 何かおかしい.
そう, こうして作った”ケーキ”は通常の意味で体積を定義できないのだ.
つまり食べられない可能性がある.
私はあまりこのパラドックスについて詳しくないのでこの”ケーキ”が実際食べられるかはわからないが, 直観に反する面白いパラドックスだった.
3.アキレスと亀のパラドックス
アキレスといえばものすごく速く走る人として有名. たいして亀はのろのろ歩く.
さて,そんなアキレスと亀が競争することになった.
アキレスは亀の10m手前から走る.亀は秒速1m, アキレスは秒速10mで走ることとする(計算を簡単にするためにこのようにした. 亀速いじゃんという突っ込みはなしで).
スタート!
1秒後 アキレス 10m
亀 11m
そしてこの1mをアキレスが追い付くには0.1秒かかる
この間亀は0.1m進む
1.1秒後
アキレス 11m
亀 11.1m
そしてこの0.1mをアキレスが追い付くには0.01秒かかる.
この間亀は0.01m進む
1.11秒後
アキレス 11.1m
カメ 11.11m
以下同様にするといつまでたっても追いつけない!
これは無限和が収束するのに発散すると勘違いしているところからきている.
実際は
となり, 秒後に追い付くことがわかる.(これは初項1,公比の無限等比級数)
いかがだったでしょうか?
意外に世の中にはこういうパラドックスは溢れています.
今回はここまでにしたいと思います.