今回は, 巡回置換、互換、部分群について述べる.
まず巡回置換についてみてみよう.
定義1 巡回置換
とする.
文字の置換
が
個の文字を
のように移し、他は動かさないとする.
このとき, を長さ
の巡回置換という.
と表す.
そして, 長さ2の巡回置換を互換という.
であり,
である.
例2 .
例3 .
ただし, で省略しているところは上下とも同じ文字が並んでいる.
補題4 ,
を互いに同じ文字を含まない巡回置換とするとき,
となる.
例5 長さ3の巡回置換の二つの積は次のとおりである.
,
,
,
.
ただし, はすべて異なるとする.
例6 巡回置換は互換の積として表されるが, 表し方は一意ではない.
例えば, ,
である.
補題7 任意の文字の置換は,
個の互換
のいくつかの積で表される.
次に, を互いに同じ文字を含まない巡回置換の積に表す.
このときを置換
の型という.
例8 4文字の置換の型は(4), (3,1), (2,2), (2,1,1), (1,1,1,1)の5つである.
定義9 部分群
次の条件を満たす群Gの部分集合Hを部分群という.
(1)
(2)
(3)
また, 記号と表す.
例10
自身, それと単位元のみからなる集合
は常に
の部分群であり自明な部分群と言われる.
例11
行列式が1である実係数次行列全体のなす集合を
で表すと,
は
の部分群である.
次の記号を導入する. 群の部分集合
に対し
,
.
が一つの元からなるときは,
,
と表す. 加法群の場合は次のように定めることにする.
,
,
,
.
そしてこの定義から次を得る.
補題12
を群とし,
を
の部分集合とする. このとき, 次が成り立つ.
(1)
(2)
補題13
を
の部分群とし,
とする. このとき, 次が成立する.
.
補題14
を
の空でない部分集合とするとき, 次が成立する.
.
補題15 を群
の部分群とするとき, 次が成立する.
.